台風は、備えが肝心
台風は、低気圧域内の中心付近の最大風速が17.2m/s(秒)以上のものと定義されています。
毎回雨が降るとは限りませんが、台風が接近すると大雨により水害が発生したり、強風による停電が起こったりする場合があります。
台風が来てからでは、対策が間に合わないこともあり、日頃からの備えて置く必要があります。
台風前から時系列で対策について解説していきます。
前編、中編、後編で分けていますので、併せてご確認ください。
大切な住まいを守るため、是非ご活用ください。

何故、台風前に備える必要があるのか?
大雨による水害発生の恐れ
台風が接近すると、大雨による河川の氾濫、高潮などの水害が発生する恐れがあります。
状況によっては、避難しなくてはならない可能性もあります。
建物に起こる影響と言えば、大雨が直接的な建物損壊の原因になることもあれば、強風が引き金になることもあります。
強風により、屋根や外壁の破損やはがれが発生した場合、大雨が降ることで雨漏りを併発します。
また、強風が吹き荒れる時は大抵横殴りの雨になるため、台風以外の普段の雨降りでは当たらない箇所に雨が吹き付けられ、雨漏りを引き起こすことがあります。
ベランダやバルコニーには、もともと防水作用があり、雨を排水する機能があります。
しかし、大雨ともなれば、排水が間に合わず、防水層を傷めてしまうことがあります。
防水層が劣化することで、雨漏りを引き起こし、家の内部にまで雨水が浸入するため、漏電のリスクにも繋がります。
雨樋に溜まったままのゴミが排出されず、大雨が降ることで破損を引き起こすこともあります。
こういったように、予測や対策を怠ると、二次被害が拡大、次から次へと問題が勃発しかねません。
そこで、日頃より、破損個所があれば修復、被害が大きくなりそうな箇所に、あらかじめ対策をしておく必要があります。
強風
台風には階級があり、強い(33m/s、64ノット以上~44m/s、85ノット未満)、非常に強い(44m/s、85ノット以上~54m/s、105ノット未満)、猛烈(54m/s、105ノット)以上の3つに分類されます。
台風の最適基準は17m/sですが、風の強さを例えると、車を走行中に窓から顔を出した時と同じような風です。
そのため、小石や屋外に置いてある物などは、簡単に吹き飛ばされます。
台風の勢力により、風も強くなります。
強風で傘を差していたら傘が飛ぶような状況や、まっすぐに歩けないような状況になるなど、非常に危険です。
猛烈な台風は、最大風速が54m/sにもなり、甚大な被害は免れられず、鉄骨の住まいでもダメージを受ける可能性があります。
また、屋外に設置されている看板、石、周囲の家から吹き飛んできた物などにより、外壁を傷付けたり、屋根瓦やタイルの剥がれ、瓦や屋根の頂部に取り付けられている棟板金の剥がれ、雨樋やカーポートの屋根材が飛ばされたりすることも少なくありません。



どのような建物であれ破損する可能性はありますが、特に、築年数が経過した建物は、瓦のずれ、釘や金具による固定が弱くなることで、被害を受けやすい状態になります。
また、自宅を傷付けるだけではなく、近所の方々の住まいや通行人を傷付けてしまう恐れもあるため、注意が必要です。
停電の恐れ
台風が発生すると、強風で電柱が倒れたり、電線が損傷したりすることで、地域により停電が起こることがあります。
電力の復旧までは数日掛かることがあるため、あらかじめ停電に備えておくことが大切です。
台風接近により、屋外の作業に困難が生じる
台風への備えとして、普段から家の周りを点検しておきましょう。
台風が接近してからの屋外作業は、非常に危険を伴います。
屋根の補修や庭木の剪定など、時間が掛かる屋外作業は、気が付いたら日頃より行うのが安心です。
台風に備えて常に準備しておくこと、意識しておくこと
台風が日本列島に近付いてくる2~3日前から、ニュースで台風のお知らせや気象庁が会見を行います。
台風への備えとして、避難が必要になった時のために、家族構成に合わせた防災グッズを用意しておきましょう。
防災グッズは、地震の際にも活用でき、ライフラインが途絶えることを想定して、非常食や水を備蓄しておきます。
同時に、ハザードマップで浸水の危険がある場所をあらかじめチェックしておくなどして、防災意識を高めましょう。
また、屋根や雨樋、家周りの点検をしておくと、より安心です。
外から建物を眺めることで気付けることがある上、外に出してあるものを安全な場所に収納し、二次被害を防ぎます。
防災グッズ
防災グッズは、ヘルメット、ホイッスル、救急セット、非常食、水、常備薬、懐中電灯、携帯電話の充電器、予備の電池、ライター、ろうそく、軍手、携帯ラジオ、着替え、タオル、ティッシュ、マスク、ビニール袋、雨具、カイロ、簡易用トイレなどを用意します。
乳児がいる場合は、ミルク、オムツ、お尻拭きも必須です。
これらのグッズをリュックにまとめ、すぐに取り出せる場所へ保管しておくのがおすすめです。
非常食・水
非常食や水は持ち出し用の防災セットに入れ、月単位で賞味期限を確認したり、不足分を追加したり(日常的に使用しながら保管するローリングストックを)しておくと良いでしょう。
ペットボトルの水(目安は1人1日3リットル程度)、野菜ジュース、アルファ米、レトルト食品、缶詰、板チョコなど、すぐに食べられるものや、長期間保存できるものを中心に、家族の人数×最低3日分、余裕があれば1週間分用意しておくと安心です。
乳児がいる家庭は、粉・液体ミルク、レトルトの離乳食、高齢者がいる家庭は、おかゆなどの柔らかい非常食といったように、家族構成に合わせて内容を考えます。
災害の情報を収集できる各種アプリをダウンロードしておくと便利です。
充電
自然災害時には停電が突然発生したり、避難先でも限られたコンセントしかない場合があり、思うように携帯の使用ができない可能性があります。
また、連絡をすぐに取りたい時に充電があと少ししかないといった状況を避けるためにも、充電は0%に近い数値にならないように、充電しておくことをおすすめします。
常にいつ何時を考えて行動しておくことで、要領よく行動できます。
緊急時の動き方を家族で話し合う
台風への備えとして、緊急時の動きを日頃から家族で話し合っておくことは大切です。
また、自治体が発行しているハザードマップをチェックして、浸水の危険のある場所を一緒に確認しておきましょう。
緊急時の連絡方法、避難場所など、共通認識をしておきましょう。
電話が繋がりにくくなった時のために、NTTの災害用伝言ダイヤルの使用方法を確認しておくなど、改めて見直しておくと良いでしょう。
ハザードマップをチェックする
各役所、自治体のホームページなどから入手可能なハザードマップと言えば、主には、自宅から最寄りの避難所へ通ずるルート、避難場所が記載されているといったイメージですが、浸水の危険のある場所も記されています。
水害と土砂災害は、ハザードマップで危険とされている、言わば「リスク地帯」に留まることで、被害に遭われる方が非常に多いです。
また、リスク地帯以外にも、浸水リスクのある、周囲より低い土地、所謂「低地」でも被害に遭われています。
川にある堤防や橋と同じような高さにある建物は、浸水の恐れがあります。
そういった場所に居住している場合は、川の水位上昇に注視し、早めに避難をしなくてはなりません。
自治体のサイトで、「自治体名 ハザードマップ」などで検索して、印刷をし、危険な場所を事前に確認し、安全に避難場所へ辿り着ける避難ルートを家族で共有しておきましょう。
避難情報の入手方法を調べておく
台風接近に伴い、慌てて準備するのではなく、避難情報の入手方法は事前にチェックしておきましょう。
情報の入手方法は、テレビやインターネットがありますが、自治体によっては、メール配信などのサービスがあります。
停電に備えて、ラジオも用意しておきましょう。
近所の人とコミュニケーションを取っておく
可能な限り、普段から近所の方々とコミュニケーションを取っておくと、自然災害時、お互いに手助けしやすくなり、安心です。
台風前にすべきこと
屋根に異常がないかを確認する
屋根の補修は高所作業となり、大変危険です。
また、台風が接近すると、屋外での作業自体困難を極めます。
日頃より、屋根に異常はないか、アンテナ落下の危険性はないか、錆び付いていないかなど、双眼鏡などで点検しておくことが重要です。
スレート・瓦のずれ、破損など補修が必要な箇所を発見したら、業者に依頼するのが賢明です。

窓、雨戸、シャッター、雨樋、側溝の確認をする
窓、網戸にガタつきがないか、網戸は戸車がレールから外れていないかなどを確認します。
雨戸、シャッターを設置している場合は、開閉がスムーズにできるか、雨樋や側溝を含め、ガイドレールや排水溝に落ち葉やゴミなどがないかを確認しておきます。
掃除などをしておき、補修の有無なども都度確認しましょう。
雨戸、シャッターは、強風による飛来物から窓を守るための役割をするため、設置していない場合は、取り付けを検討するのも良いでしょう。

車庫や車カバーの点検をしておく
車庫を設置している場合は、車庫の屋根やシャッターなどの点検を行いましょう。
シャッターがなく、そのままむき出しの車庫であれば、強風で飛来物が車に当たることが考えられます。
建物だけでなく、大切な車を守るためにも、車カバーなどで車を保護しておきましょう。
庭木の手入れをしておく
強風により、庭木が倒れることも想定しておかなければなりません。
普段から枝の剪定など庭木の手入れをしておくことで、風の通り道となる隙間を作り、倒れにくくすることができます。
台風接近の数日前に、あらかじめ支柱で固定しておくことも有効な対策です。
倒れると危険な屋外のものを確認しておく
強風で、屋外にあるものが転倒、吹き飛ばされると、物だけでなく人に対しても危険です。
プロパンガスのタンクを設置している場合は、チェーンでしっかりと固定されているか、緩みやグラつきがないかを確認しましょう。
ブロック塀がある場合は、亀裂などがないかを確認しておきましょう。
台風は勢力を拡大していくにつれ、強風の度合いも増していきます。
強風が吹いてから、それが思っていた以上に強風であった場合、渦中に対策を再度行うことは危険です。
そういったことがないように、台風が来る前に、傘、物干し竿、飾り、小物など、飛ばされやすいものは、しっかりとロープで固定させたり、室内または風を防げる倉庫などに移動させたりすることで、二次被害を防げます。